〜オークキング&キラーマシーン〜

                作:名無しさん446さま

オークス〜オークスキング〜
  ワシはオークキングのオークスである。
オーク族の王であるワシが、何故人間の配下となったか、
今日はそれを説明させてもらおう。
 彼奴との出会いは、ジャミ様が治めるデモンズタワーであった。
 ワシは、日々配下の魔物共の訓練に勤しんでいたのであるが、
ある日、敵襲の知らせが入ったのだ。
 近くの国の王が、自らの妻を助け出す為に攻めてくるとの話であった。
 人間ごときが、我等の住処を荒す事は当然許せぬ。
ワシはいち仕官として前線に立ち、部下達を率いて戦った。
 そして、見たのだ。その人間ごときが我等に立ち向かってくるの様を。
 見た目は、屈強な訳ではなく、
その顔つきもワシが屠って来た歴戦の兵どもとは、比べ物にならぬ程柔和であった。
 だが、その瞳に宿るモノが、明らかに今まで出会った人間共とは違っていたのである。

 それだけではない。
その戦い方にはワシと共通する部分を感じた。
 自身の妻を奪われた怒りからか、
その身体からは怒気をまとったオーラが放たれていた。
 だが、いざ戦闘の段になると、見事に自身の配下を操っていた。
冷静に指揮官としての判断を下していたのだ。
常にパーティの体力に気を使い、部下を回復を怠らない事。
いざという時は前線に出る勇気を持つ事。
 それらの判断を的確にこなしつつ、無駄なく戦いを進めていた。
 さらには、その配下のモンスターも見事に訓練されておった。
 その錬度はワシの部下達とは比べ物にならなかったであろう。
人間がモンスターを使う、と言うのも妙なものではあるが、
あの程度のレベルの種族のモンスターを、
あのレベルまで鍛え上げるのにはさぞかし時間がかかったであろうに。
 そんな風に彼奴の戦いぶりに見惚れておった間に、
戦いは終わってしまったのである。ワシ等の完敗であった。

 部下達は見事屠られ、ワシ自身も瀕死の重傷を負っていたが、
つい、この優秀な指揮官としての資質を持つ漢と握手をしたくなった。
「人間ごとき、と思っていたが、お主は中々やるの。ワシ等の完敗だ」
 そう言い止めの一撃を、と剣を構えていた彼奴に手を伸ばしたのだ。
 すると、身体に纏わりついていた怒気が若干薄れた。
 そして、構えた剣を下げたのだ。
「……貴方は立派な武人なのですね」
「フン…。このように散々に敗れては立派もあるまいに」
「実は今、少しでも援護の人手が欲しい所なんです」
「……ワシにお主らの仲間に加われと?」
「そうです。出来れば僕等と一緒に戦って欲しい」
 そう言った彼奴の瞳は限りない悲しみに彩られていた。
 このように強い人間がこのような表情をするとは。
その時、この人間に強く興味を惹かれたのである。

 その後、ワシは彼奴と共に旅をする事になった。
 強い者に惹かれる魔物の性が、そうしたのか、
それとも彼奴のその瞳を見てしまった為なのかは解らぬ。
 だが、この人間を見ていきたいと思ったのは確かだ。
 ワシが認めた、この武人としてもリーダーとしても、
申し分ない5主人公に一票を投じてやってくれ。
ロビン〜キラーマシン〜
 

ロビンは自分の手足を見下ろした。
冷たい鋼の身体。
魔王の魔力によってひたすら破壊と殺戮を命じられた魂。
 だが、ある人間との出会いが、機械の身体に変化をもたらしたのだ。
人を殺す事にためらいを覚え、独りでいる事に寂しさを感じるようになったのだ。
 自分の居場所に違和感を覚えた彼は、やがて魔物の集団から離れるようになっていった。
 もう一度あの人間に会ってみたい。
口を開けぬ自分に対してあの人間はどんな風に接してくれるのだろうか。
 再会した時の事を考え、彼は歩みを続けるのであった。
 その想いが彼を動かし続け、やがて主人公と再び出会うことになる。

 ジャハンナの街の周辺で主人公達は休息をとっていた。
頼りになる仲間達に、馬車の周囲を任せ、
先ほどまで戦っていた家族4人は馬車の中で休憩中だ。
「ねえ、貴方。さっき倒した魔物の中に様子が変だった子がいなかった?」
「あっ、ボクもそう思ったよお母さん。ねえ、ソラもそう思わなかった?」
「あのキラーマシンの子の事?確かに変だったわね。」
「そうそう。それにお父さんならああいう時は一声かけるよね?」
「わたしもそう思ったのよ!ねえ、お父さん。どうしてあの子に声をかけてあげなかったの?」
 家族の矢継ぎ早の質問に少したじたじになる主人公。
「え〜っとね。ちょっと今回は考えがあったんだよ。それより皆して僕に迫らないでくれないかい…」
 が、最愛の家族達は主人公の言う事を聞いてくれないようだ。
 まっさきに妻から主人公の膝に飛び込み、体重を掛けて来る。
「なら、さっさと話してくれると嬉しいわ?」
 身体をあずけ、膝の上に肘をついて、上目つかいで見詰めてくる。
そして、にこやかに彼女は微笑んだ。
 いや…石化が解けて嬉しくて最近よく引っ付かれるのは分かってるんだけど……。
正直恥ずかしい(////)
「お父さん達ったら…。わたし達もいるんだから、ちょっとは遠慮して欲しいわね」
 ジト目で睨んでくるソラ。あああ、そんな展開になると思ったから勘弁して欲しかったんだよ。
「ま、まあそれはいいとしてだよ。どうしてあの子に話しかけなかったの?」
「それも、そうね。お父さんどうして?」
 息子がフォローを入れて、話が本筋に戻ってきたようだ。

「うん。あの子はまだ悩んでるみたいだったんだ…。
 また会う事もあるだろうし。その時にもう一度様子を見ようかと思ってね」
「ふうん。そういうのも分かるんだ、お父さんは」
「と言うか次に会って見分けがつくのかしら…」
 これは、娘と妻の問いかけだ。
「それは大丈夫。同じ種族って言っても一人一人ちゃあんと特徴があるんだよ。
 さっき会った子の顔はちゃんと覚えたから」
 そう言うと家族は沈黙してしまう。
「やっぱりお父さんて変なところあるわよね、テン」
「う、う〜ん。ボクはお父さんのスゴイところだと思うな」
「まあ、私はその辺りも含めてこの人の事好きになったのだけど…」
 その後はまた雑談に戻り、会話がはずんでいった。

 だが、主人公は、機械の身体に不似合いな心を持ってしまった彼の事が気にかかっていた。
止めを刺さずに逃げるように仕向けたが、彼はあの後どうしているのだろう。
 主人公の母から受け継いだ力は魔物に心を通じさせる事だ。
 元々、人と話せる資質を持つ魔物もいるが、
今回のようにいきなり起こしたパターンは初めてだった。
 次に会うまでに、彼が仲間の中でどうなっているのだろう。
願わくば、彼が無事でいることを…。そんな事を想った。

   

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