僕は、彼女をけがしてしまったのだろうか。

 自分の気持ちが、身体から一気に吐き出された後で、ため息が出た。

 彼女の呪いは未だとけず、普段は隠されている犬の耳と、そしてしっぽが、頼りなくこちらを向いている。そんな中にあって、さらされた肌は美しい。

 顔を赤らめてこちらを向く王女には、無垢だった頃とは違う戸惑いがあった。

 呪いから解き放つ為には、何かとんでもないことをやってみる必要があるかもしれないという言葉で、僕たちはこんな事になっているのだけれど。

 やはり、僕の液体は確実に彼女をけがしてしまっている。男の精が女を浄化するなんて、あり得ないのに。世迷い言を信じて、なんてひどい事をしてしまったんだろう……。

 僕の後悔が王女に伝わったのだろう、王女は恥ずかしそうにうつむいて、こう言った。

「……呪いはとけなかったね」
「うん……ごめん。ばかな噂を信じてごめん」
「そうだね。でも、恥ずかしかったのは、私だけじゃないでしょう?」
「………そう、かな?」
「そうよ……。ありがと」

 優しい王女の言葉に、僕はうつむいて、そして彼女を本当に浄化するために身体を拭く布を取りに行った……。
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