闘う者たち

3:コスモキャニオン
   コスモキャニオンで、一行はたき火を囲んで座っていた。
「こんなん何年ぶりやろか……。な〜んや、色んな事思い出しますなぁ」
 不意に話しかけられて、口をついて出たのはケット・シー“操縦者”の本音だった。


「君の代わりならいくらでもいるんだよ? やる気が無いのならこのプロジェクトから降りたまえ」


 ……若い頃。
 自分の思いが上手く結果に反映されなかったことを悔やんだ日々。早く一人前になり
たいと上を見上げて頑張った毎日――それはちょうど、今のナナキと似たような心境
だったのだろう。

 はっと我に返ってリーブは苦笑した。
 自分は諜報活動の真っ最中である筈なのに、何故こんな風に考えてしまうのだろう。
 ケット・シーは遠隔操作ロボットだ。だからこの時のリーブの表情を見た者はいない。
 諜報活動――それは、彼にとって孤独との戦いだった。


「求められているのは“結果”だ。それ以外の何物でもない」
 ロケット村でパルマーの醜態を目の当たりにした上層部からの圧力。自身の行動への
疑念。その両方に、リーブは追い詰められていたのかも知れない。
 その後一行はキーストーンを求め、再びゴールドソーサーへ向かう事となる。

 作戦の決行は、その夜とされた。
 
4:ゴールドソーサー
 

 手筈通りロープウェイが故障。一行をこの地に引き留めることに成功した。
作戦決行は今夜。
 クラウド達の得たキーストーンを奪い、ツォンへ引き渡す。
 これがリーブに課せられた任務だった。

「……なんや予定外の事態や!」
 決行を夜中に選んだのは正解だった。しかし、予期せぬ事態に見舞われる。
個人行動中のクラウド達に、自分の所業が発覚したのだ。
『ふざけるな! スパイだと分かってこれ以上……』
 ケット・シーに対してクラウドが叫ぶのももっともだ。スパイだと知れた以上、
自分の言葉に聞く耳など持たないだろうな。
「ほな、どないするんですか? ボクを壊すんですか? 
そんなんしても、ムダですよ。この身体、もともとオモチャやから」
 これが壊されても、またすぐに新しい物を向かわせれば良いのだから。

 しかしそれも予測済みである。
 リーブは“切り札”を出した。人質との交換条件で自分の同行を認めさせたのだ。
彼自身も苦笑する程、なんて卑劣で周到な……さすがは都市開発に携わっただけあって、
それは抜け目のない完璧な“交渉”だった。

 卑怯者と罵られようと、蔑まれようと。彼は他に方策を見出せなかった。
 それに……。
「命がけで旅続けるあんた達見てるとな、考えてしまうんや……。なんや、自分の人生
このまま終わってしもたらアカンのとちがうかな、ってな」

 こうしてクラウド達と共に、古代主の神殿へ向かう事となった。


 
 

 

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