DQ7〜エデンの戦士たち〜チーム(……チーム?)、入場しま〜す!
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きょろきょろしながら進むガボを迷子にならないように誘導しつつ、
アルスは決戦場の通路を進んでいた。
「ええと、エデンの戦士たち控え室は……あ、あそこだね」
「久しぶりに来たなあ、ここ。今日はなんだか他にも人がいっぱいいるぞ」
「そうだね。今日はバトロワだからね」
「バトロワって何だ? うまいのか?」
「食べ物じゃなくて、試合の形式だよ。この間よりもずっと多い人数で一気に戦うんだ。
今までに負けた人は全員一緒だよ」
「おお、アルスは物知りだな〜。じゃあ、シャドウのおっちゃんやキーファも来るのか?」
「おっちゃんって……シャドウさんも来ると思うけど、その言い方じゃあ、シャドウさんに
殺されちゃうかもしれないよ? 暗殺者なんでしょう?」
「なんでだ? シャドウのおっちゃんのこと、おいら大好きなんだぞ?」
「……ま、まあ、とにかく部屋に入ろう。きっと誰か先に来ているから」
カチャリ。意外にちゃちな取っ手を回して部屋の中を覗くとそこには………

すでにキーファとカシムがソファーに座っていた。
「よう、アルス。久しぶりだなあ。元気にしてたか?」
ソファーに身体を投げ出し気味にしてくつろいでいたキーファが、脳天気な声を出す。
途端にアルスは頭が沸騰しそうになり、思わず大声を出していた。
「元気にしてたか、じゃないよっっ。キーファに会えなくなって王様やリーサ姫がどんなに
嘆かれたかわかってんのかっっっっ!」
「おいおい、久しぶりの再会でいきなり怒るなよ〜」
立ち上がってそばに行き、ぽんぽんと肩を叩く。
キーファのそんな仕種が余裕に満ちている事にも腹がたつ。
「キーファはいつだってそうやって僕をごまかそうとするんだっっ」
「ごまかしてなんていないさ〜。久しぶりに会ったのに急に怒るから……」
「きょ、今日だって、バーンズ王がどんなにここに来たいと言っておられたかっ」
「げっっ、親父に直接会うのは勘弁してくれ」
「なんでだよ、王の気持ちがわからないわけじゃないだろっっ」
「わかるから、だよ………自分のした事がどれだけ親不孝だったか、わかってるさ。
だから尚更……会わせる顔がない、ってやつさ」
「本当に王に悪かったと思ってるのか?」
「悪かった、というとちょっと違うんだが……。説明不足だったというか、フォローが
足りなかったと反省はしてるさ」
…………共に旅していた頃よりも多少大人になったようなキーファの言葉に、
アルスは怒りをおさめる事にした。
「ああそうか。さっきは名前だけの自己紹介だったから、一体どんな人だったか
思い出せなかったんだが……こちらの色男は、女に惚れて国を捨てた王子サマだよな?」
カシムがのんびりと口を開いた。途端にキーファの顔が紅潮する。
「なっ……おいアルス! どういう説明してるんだよ、俺の事!?」
「いやいや、ただひとりと心に決めた女性を想って生きるのは、悪い事ではないさ。
私だって、あの人への思いがなければ、決闘場を生き抜く事は出来なかっただろう
(当時を思い出して、ひとり感慨にふけり始める……)」
「カシム、なんでぼ〜っとしてんだ? まだ足が短い事を気にしてるのか?」
「ぐっ………ガボ、その話はやめよう……」
皆の視線が下半身に集中するような気がして、カシムはソファに腰掛け直した。
その時、再び扉が開いて、今度はメルビンがやってきた。
「おやおや、皆さんお揃いのようですな。遅れてしまってかたじけない」
「シャークアイのおっちゃんがまだだぞう。だけど、メルビンも元気そうだな〜。
神殿でいいもん食ってんのか?」
「ははは、ガボ殿は相変わらずでござるな。元気でござるよ」
ガボとメルビンを眺めつつ、キーファがそっとアルスに囁いた。
「この時代錯誤な話し方のご老人は一体?」
「老人とは、初対面からあんまりなお言葉ですな、キーファ殿。時代錯誤と呼ばれても
仕方ないでござるが。何しろ、数百年もの間、石にとじこめられておりましたからなあ」
はっはっはっと豪快に笑うメルビンに、キーファはアタマをかいた。メルビンは
意外と地獄耳らしい(註:こんな話はゲーム中に出て来ませんが)
「私の名前はメルビン。キーファ殿が暮らしておられる時代よりもずっと前に、
神に封印されてしまった情けない男でござるよ。神と共に魔王とを討つはずでござったのに。
ひとり戦っておられた神の姿は、今でも目に焼き付いているでござる……」
「でも、魔王を倒して神の仇を討ったんだろう? 今さらそんなに暗い顔をする事はないさ」
フッと笑みを浮かべるカシムに、メルビンも笑みを返した。
「そうでござるなあ。まあそれに、正確には仇ではなかったのでござるが。神は生きて
おられましたからなあ」
「そうだね。神には驚いたね‥‥あんなに鍛えたなら自分で対戦してくれても……」
何やらしみじみとし始めたアルスとメルビンに、キーファはガボの顔を覗き込んだ。
「神は無事復活したのか?」
「カミってどれだ? おいら一杯カミって言葉知ってるぞ?木こりのおっちゃんが字を教えて
くれるやつの事か?」
「………ごめん、悪かった。ガボに聞いた俺が悪かったよ」
困り顔のキーファを見て、アルスはちょっと笑った。
ともかくもまずは座って落ち着こうか、ということで、それぞれがソファに座った。
エデンの戦士たちは早々に敗退したものの、エントリー人数の多いチームなので、広い
控え室が与えられていた。ソファに座った事のないガボがはしゃいでいるのを見ながら
メルビンが口を開いた。
「それにしても、シャークアイ殿は遅いでござるなあ。どうされたのか」
バターン。この言葉を打ち消すかのような勢いで扉が開いた。


駈け込んで来たのは、シャークアイの腹心、カデルである。
「ア、アルスさま、申し訳ありませんっ」
入るなり平身低頭なカデルに、全員が顔を見合わせた。
「何があったんだかよくわからないけど、まあ、立ちなよカデル。あ、皆さん、こちらは
シャークアイ船長の腹心のカデル操舵長です」
「ど、どうも……あ、そんな呑気な事を言ってる場合じゃないんでさ。総領なんですが」
「シャークアイ、どうかしたのか?」
ガボのまっすぐな瞳に見つめられると、カデルは口にだせなくなってしまった。
「あのうそのうつまり………」
?????。全員の不可解な顔を見回した後で、カデルは決心した。
ガボの耳をふさいでしまえばいいんだ!
ガボの背後に回り、両耳に自分の手をあわせ、耳をふさぐと一気にしゃべった。
「アニエスさまと数百年ぶりに御会いできた後なので、なかなか寝室から出て来られないんでさ。
直接決戦会場に向かうからよろしく、とのご伝言なんですが……」
うわっはっはっ。
とっさに爆笑を始めたのはメルビンとカシム。アルスとキーファは顔を見合わせ、ガボは
目を白黒させている……
「さすがなお方よ。愛する妻との時間を大事にされるのだな」
「いいねえいいねえ。私もそんな時間が持ちたいものだ」
すみませんすみません、と頭を下げるカデルの肩をぽんぽんっとたたき、アルスは言った。
「まあ、船長の事だから、ちゃんと試合には間に合って到着されるさ。それに、本当は何か
別にお考えあっての事じゃないかな? アニエスさんとの時間を大切にされたいだけじゃない
ような気がするな」
「……さすがにアルス様はお分かりですね……。シャークアイ様には確かに、何かお考えが
あるようですが、わしらにゃどういう事かサッパリわかりませんです。こんな恥ずかしい理由を
言えと言われたあっしも困っちまったんでさ」
苦笑しつつ首をかしげるキーファを見やり、ガボは悲しげにカデルを見上げた。
「なあ、カデル。おいらいつまでこうやってればいいんだ?」
「あっっっっ すみません、ガボさん」
ぱっと手を離したカデルに、ガボは無邪気に尋ねた。
「アニエスの具合が悪いのか? 寝室から出て来ないって何でだ?おいらお見舞いに行くぞ?」
「き、聞こえてましたか……」
「おいら狼だったから耳がいいんだぞ。鼻もいいぞ」
得意げに笑うガボと困り顔のカデル。ふたりを見る他の仲間たちからは、自然と笑いがこぼれた。
「そういえばさ、ゼボットさんだって来るはずなんだろ? ゼボットさんは?」
「あの人が僕達と一緒にいたいわけがないじゃないか。それに、ゼボットさんは違うチーム
なんだよ」
「そうか……きっと、お祭りを見せにエリーを連れて来ているだろうから、久しぶりに会いたかったんだが」
「エリー来てんのか? うお〜、おいら会いたいぞっっ。どこにいるんだ?」
コンコン。
ガボが興奮してぴょんぴょん跳ね回り始めたところで、ノック音がした。
「失礼するます〜」
「そろそろ時間です〜」
運営のオッパ氏とエレジ氏が、いつも通りにあらくれた様子でやってきた。
「さあ、出撃じゃあ!  って感じで、元気に出撃してくださいね?」
みかけは荒くれているが実は丁寧な人らしい……と小声でつぶやいて、キーファはニヤリと笑った。
「さあ、行こうぜ! く〜〜〜っワクワクするな!」
「では行くでござる。マッシュ殿と再び決勝戦でお会いしたいものでござるよ」
「行きましょうか。私はバッツ殿のあらくれぶりをもう一度見せていただくのも楽しみです」
「おいら、頑張るぞっっ。もう一度ホイミンと遊ぶんだっ」
「カデルは客席で見ててくれよ? 船長ももう会場に入ってるだろうしさ?」
最後にカデルに声をかけ、アルスは部屋の扉を閉めた。
「行こう!」


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